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悲しいというコト。
それは決して心から消えてくれない想いだ。
心を焼き尽くす程の、熱くてつよい想いの丈は、寝ても覚めても息をする刹那の瞬間さえ、光に満ちた鮮やかな日々を想起(そうき)させる。
伊織さんとのデートに心を躍らせたのは、今から一週間まえのコトだ。
初めての待ち合わせデートに浮かれ、ぼくは身なりやヘアスタイルにも気を配り、駆(かける)に見送られ意気揚々と家をあとにした。
彼との待ち合わせ場所は、翡翠ヶ丘駅の宣伝掲示板まえ。時間より幾分かはやくついたぼくは、伊織さんが来るのを心待ちにした。
けれどもいくら待てど、すがたを現さないコトに一抹の不安を覚えたぼくは、彼のスマートフォンに連絡を入れる。
だけどもコール音が鳴るだけで、一向につながる気配はない。lineを送ってみても、既読にはならなかった。
家を出るまえ、駆に『何かあったら直ぐに連絡してこい』と言われていたのを思いだし、彼のスマートフォンに連絡をした。
すると駆は、ものの十分程度でぼくの許へとやって来て、伊織さんのマンションに押しかけようと提案した。
ぼくもそれには賛成で、一路マンションまで向かった。
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