桜の木と涙と信長と(実話)

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いつも妄想コンテストには「楽しい話」を投稿しているのだけれど、 今回は僕が体験した、桜のエピソードを紹介しようと思う。 今から15年程前に、僕の人生は終わるハズだった。 人に裏切られて深く深く傷付いて涙も出なくなって、自分で人生を 閉じようとしていたから。もう「生きる」って選択肢は放棄してしまって、 頭の中でずっと「どうやって死ぬか」ばかり考えてた。 10分で出たくなるような熱いサウナに入ったみたいに耐えられない 息苦しさが一年中ずっと続く感覚。精神的にホント限界だった。 ご飯食べてもすぐに吐くし、夜は30分ぐらいしか寝れないし、 ついには心臓がダウンした。 心臓発作が起きた時は景色が段々白く薄れてきて、 「ああ、これで死ねるな~」って嬉しかった。 だけどまた心臓が鼓動して生き残ってしまってガッカリした。 「よし、やっぱり高い所から飛び降りて死のう!」 そう決心した頃、冬の休日にいつもはほとんど行かない 川沿いの道を散歩した。 目に映る景色も見納めだなって思いながら歩いていたんだけど、 川がカーブしている辺りで突然僕の名前を呼ぶ声がした。 だけど周りには誰もいない。 キョロキョロ辺りを見渡したら、一本の大木が立っていた。 葉っぱも無くて枝だけの大木。 すると確かに僕の耳にはこんな言葉が聴こえた。 「希望を持ちなさい」 その時に「死ぬのを少し待ってみようか」とふと思った。 どうしてそんな気持ちが沸いたかは今でも判らない。 生き地獄よりも死を選ぶ方が、ずっとずっと簡単だった。
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