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だが、カルスにもやる気はあるのだ。
ここは、僭越だが私が出しゃばるとするか。
「ミネア様……」
「けっ、剣の稽古なら、これからするのです! 兄上と!
嘘など、ついておりません!」
弁護の言葉を発する前に、カルス自身によって意気込みが告げられたことで、一旦、口をつぐんだ。
「まぁ、シュギル様とお稽古を?
――――よろしいのですか? シュギル様」
「もちろんです」
カルスから私へと流れてきた視線に、微笑んで頷く。
「カルス、早速始めるぞ。剣を持って奥庭まで来い。私は先に行って待っている」
「はいっ!」
「――では、ミネア様。私も、これにて失礼いたします」
勇んで走り去っていくカルスの後ろ姿を見送り、ミネア様に丁寧に礼をした。
今からなら、夕刻までにかなりの時間、打ち合えるだろう。
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