6 覚悟の重さ

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レイド。 あの者、いったいどういうつもりだ? 私が(げき)となって神殿へと入る可能性について、あの者はそれを知っているはずではないか。 そもそも、儀式を行う代わりに巫覡(ふげき)となる者には王家の血が流れていることが前提なのだと私に話して聞かせたのは、他でもないレイド本人だ。 それであればこそ、ルリーシェに儀式のことを伝えたりする必要などないはずなのだが……。 「私、この先、自分がこの神殿での未来をどう生きていけば良いのかをずっと考えてきましたけど、もう一度生贄として望んでもらえるのなら。 私が神のもとへと旅立つことが、最大の償いとなるのなら喜んで……」 「ルリーシェ!」 「……っ」 「あ、済まない。急に大声を出して。 しかし、少し待ってくれ。 その結論を出すのは、少し待ってほしい」 私が突然さえぎったことで肩を跳ねさせるほどに驚かせてしまったルリーシェだったが、必死でなだめる私の顔を見て、黙って頷いてくれた。 そして、いったん落ち着いてもらおうと私が注いだハーブ水を素直に飲んでくれる。 その様子を見てほっと息をついたが、この後の会話をどうしたものかと思い悩んでしまう。 なぜなら、これは私が思っていた展開ではない。 私がルリーシェと話さねばならないと考えていたのは、その儀式に向かわせないための選択肢についてなのだ。 「ルリーシェ。君に生贄の儀式について話して聞かせた神官は、生贄になることを君に勧めたのか?」 だから、本来ならこのような会話は不要なはずだが、ここから始めなければ。
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