6 覚悟の重さ

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* ――陽が傾き、新たに発現した湖に、夕空の赤銅(しゃくどう)色が、たゆたう細波(さざなみ)を燃え立たせている。 それほど時を待たずして、低空に宵の明星がその姿を現すことだろう。 かなり、ここで時を費やしてしまった。 名残惜しいが、そろそろ退出しなければ。 「もう、大丈夫か?」 そう思い、顔を伏せているルリーシェに声をかけた。 「はい。あの、お見苦しいところをお目にかけまして……。 私、お恥ずかしいです」 「そのようなことを気にする必要はない。君は、何も悪くない。 むしろ、私の傲慢な恣意(しい)を、君に押しつけたようなものなのだから」 つと、指を伸ばした。 小さな声で恥じらい、申し訳なさそうに目を伏せるルリーシェへと。 つい先ほどまで、涙がとめどなく溢れ出ていた目元。 それから、透明な雫がはらはらと伝っていた頬へ。 『――王子様、お願いです。どうか……っ』 私が、泣かせてしまった。
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