6 覚悟の重さ

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『王子様、お願いです!』 幾度も、頭を下げられた。 悲痛な表情で。 『そのようなお薬を、どうか飲まないでください。 私のためになど……そのようなことは、どうかおやめになられてください。お願いですっ』 飲めば何かを失うような、そんな危険な薬を飲まないでください、と。 『わ、私っ……私が生贄になれば良いのです。 王子様の御身(おんみ)を危険にさらすくらいなら、私が神のもとへと旅立ちます。ですからっ……』 しかし、どれほど泣かせても、その願いには頷けない。 『お願い、です。それだけは、おやめになられてくださ……っ』 泣きじゃくり、震える唇で、どれほど懇願されても。 ルリーシェ。君を、あの祭壇へと向かわせるわけにはいかない。 『王子様……私、どうすればよいのですか?』 真っ赤に充血した目で、すがるように哀切な表情を向けてくる君に告げる言葉は、たったひとつだ。 「ルリーシェ。先程も口にしたが。私が君に告げる言葉は、これだけだ。だから、どうか頷いてくれ。 ――私と、ともに歩いてほしい。 生贄となる道ではなく、この神殿で生きる未来を」 長い長い沈黙の後。 溢れ続ける涙をそのままに、ルリーシェがようやく顔を上げた。 そうして、私と目を合わせ、しっかりと頷いてくれたのだ。
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