6 覚悟の重さ

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「……左様でございますか。 では、御決心にお変わりはありませんか?」 少しの間をおき、ザライアが、私の決心を問い(ただ)してくる。 真暗き深淵の闇を思わせるような声音だと思った。 けれど、その感想は胸にとどめ、私はたったひとつの答えのみを口にする。 「変わらぬ」 愚問だ。この決心が揺らぐわけがない。 「……ふっ。既に覚悟を決めている者には、何を言うても同じか。 まこと、人の子というものは、可愛らしくも厄介なものよ」 「……ザライア?」 決意を込めた私の返答に、ザライアの呟きが返ってきた。 丁寧な口調を脱ぎ捨てた、年長者が若造へと向ける嘲りを含んだ言葉。 老獪(ろうかい)さと嘲弄(ちょうろう)が入り混じった声が。 しんと静まった室内――――身を包む空気も、ひやりとした冷たいものに変化したように感じる。 それほどに、今のザライアから放たれてくる気は冷淡で。 突然変貌した冷々たる威圧感は、びりびりと、痛いほどに肌を刺してくるものだった。 このようなザライアは、初めて目にする。 目の前にいるのは、本当にザライアだろうか? ……これは、いったい“ 誰 ”だ?
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