6 覚悟の重さ

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()すべきことを為せ』 女神様が、最後におっしゃられた御言葉。 そこに込められた、神の恩情と厳しさを思う。 次の満月までは、もう幾ばくも残されていない。 それまでに、王太子として、また一個人として、思い残すことがないよう全てを為してこい、という意味だ。 また、『満月の前夜』としてくださったのは、満月の夜には生贄の儀式が行われるからであろう。 気まぐれな父上のことだ。いつ気を変えて、ルリーシェを生贄にと望むかもしれない。 それに間に合わせようとしてくださったに違いない。 私が聖水を飲み、(げき)として神殿に入れば、全てが解決する。 そう、全てが。 全ては、満月の前夜に――。
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