7 愛情と思慕の狭間で

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「――ブランダル将軍、お待たせしました」 「おぉ、王子様方。突然お邪魔しまして申し訳ございませぬ」 「いえ。それで、我らふたりにお話とは、どのような内容でしょうか」 椅子にかけることなく我らの入室を待っていてくれたブランダル将軍が見せた、いつもと変わらぬ笑み。 その破顔に笑みを返し、突然の訪問の理由を早速尋ねた。 同じ王宮内とはいえ、ここはミネア様が主であられる王妃宮。 ここに私が来ていると知っていなければ、我らふたりに話があると言って訪ねてくるわけがない。 とすれば、私の居所を宮で留守居をしているロキに尋ねてきたということで、この訪問は緊急の案件ということになる。 「実は、四日後に迫った多頭竜召喚の儀式について、国王陛下よりの御言葉をお伝えに参じました」 「……っ、儀式の詳細の決定が(くだ)されたのか?」 今朝の朝見(ちょうけん)では、私からの問いに『まだ決めておらぬ』と素っ気なく一蹴された父上であったが。午後になって、詳細を詰められたということか。 そして、国王の名代として儀式の執行の任に就いているブランダル将軍に御言葉を持たせられたということは――
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