7 愛情と思慕の狭間で

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「失礼ながら、陛下の御言葉をそのままお伝えさせていただきます。 ――四日後に行う多頭竜召喚の儀式に於いて、王族として臨席するのは、王、正妃、及び第二王子カルスのみとする。 王太子シュギルは、参列すること(あた)わず。 尚、王太子は明日より王宮内に居所を移し、儀式終了までいっさいの外出を禁ずる――――以上でございます」 「……何、だと?」 明日、王宮に居所を移せ、と? ということは、前回の儀式での私の所業から(かんが)み、邪魔をさせぬよう、儀式の無事の終了まで見張りをつけて王宮に留め置くという狙いであろう。 すなわち、新たな生贄はやはり見つからず、ルリーシェの名が再び生贄として上がったということだ。 だが、私はその回避の方法を知っている。 しかし、それを回避するためには、儀式の前夜に私が王宮から脱出し、神殿へと向かわねばならない。 父上がつけた見張りをかいくぐって、だ。 なんということだ。 私には、よくよく困難がついて回るようにできているらしい。
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