7 愛情と思慕の狭間で

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「カルス。では、行ってくる」 「はい、行ってらっしゃいませ。お戻りになられたら、また数学を教えてくださいね」 「あぁ。それまで剣の稽古でもしているといい」 勉学を見てやっていたカルスをいったん自室へと戻し、身支度を整えてから謁見(えっけん)()へと向かった。 父上に、呼ばれているのだ。 王宮に入れば、部屋に軟禁されたまま儀式の夜まで過ごすのだと思っていたが、どうもそうではなかったようだ。 今朝、王宮への到着と同時に父上からの使いが訪れ、謁見の刻限を伝えてきた。 私に、どのような御用件だろう。 まさか、生贄の儀式が済み次第、また出陣せよと言われるのであろうか。 どうする? もしも、出陣の御命令であったなら……。 「――王太子よ。そなたに命ずる」 取り留めのない思考を繰り返し、しかし結論を出せぬまま、私は父上の御前に跪いていた。 いったい、どのような御下命(ごかめい)が下されるのか―― 「妻を娶れ」 「……は?」
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