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しまった。
私の反応の直後、ぴんと張り詰めた空気が、瞬時に謁見の間を覆い尽くしていったのを感じた。
命令を聞き返されることを嫌う父上であることを、つい失念していた。
しかも、驚きの余りとはいえ、間抜けな言葉で聞き返すという愚行を私は重ねてしまっている。
これは、いつもの怒号が響き渡るな。確実に。
居並ぶ臣下の皆には申し訳ないことをしてしまった。
どう、ご機嫌を直していただこうか……。
「既に相手は、我が見繕っておいた」
が、それは杞憂に終わった。
私の反応に片眉をぴくりと動かし、怒号を放つと思われた父上は、冷静に話を続けられたのだ。
「今宵より順次、顔合わせし、三日後には王太子妃と側妃を決定せよ――――以上だ」
「……っ」
あ……。
「父上……お待ち、ください」
「もう下がれ」と素っ気なく言い置いて口を噤まれた父上に、取り縋るように声をかけた。
これは……この御命令だけは、すぐに「諾」と返すわけにはいかない。
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