7 愛情と思慕の狭間で

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……あぁ、そうか。 ミネア様とレイド。祭壇前で並び立つふたりを交互に見ているうちに、唐突に納得した。 そうだ。フードだ。 今、レイドは黒衣のフードを上げている。 だから、髪の色に気づけたのだな。 「カルス。悪いが、先にこちらを確認させてくれ」 カルスからの問いに、まだ答えていないことは承知している。 が、私にとっては好みの女人の話題よりも、こちらが優先順位は上だ。 「レイドのことなんだが。 以前、彼はミネア様の縁戚に連なる者だと言っていたな。 とすると、ユミルやトールと同様、ご実家の家令(かれい)の血筋に当たるのか?」 「レイドですか? いいえ。彼は、ユミルたちとは血筋が違います。 レイドは、先代の大臣の子です。 先代が壮年で亡くなった後、その弟、つまり母上の父が大臣になりました。 ですから、母上とレイドは、従兄妹(いとこ)同士なんですよ」 「従兄妹、か……。 それは、初耳だ」 ミネア様のご実家は、代々、大臣を務めている、国の有力者の家柄だ。 なればこそ、隣国の姫であった私の母上亡き後、側妃(そくひ)から正妃に上られるのに、反対の声は上がらなかったと聞いた。 まぁ、既に第二王子であるカルスをお産みになられていたのだから、当たり前だが。 しかし、問題はレイドだ。 先代とはいえ、その大臣家の血筋であるレイドが、なぜ神殿に入り、神官になっているのだろう。
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