prologue

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 (あま)つ星よ。朱く夕づく()とともに、輝け。  (あめ)の海よ。()の闇を燦然と照らす円月(えんげつ)を、(いだ)け。  建国の祖となる創造の女神よ。その豊穣の力を(もっ)て、あまねく(そら)より恵みの雨をその治むる地に、降らせよ。  (われ)、今より御身(おんみ)に我が身を捧げ、白き竜とともに神使(しんし)となりて、護国の闘竜とならん。  (いにしえ)より続く王国を継ぐ者として、建国の創造神への誓詞を紡ぎ、初めて戦場へと赴いたのは十四の夏。  以来、十余年。幾度も軍を率い、その度に勝利をおさめてきた。  豊穣と繁殖を司る神の使いとして。  大いなる神意を代行する者として。  この運命(さだめ)に抗うことなど、露ほども思い浮かべることなく。  創造神の使い、白き竜の眷族を意味する『ギル』をその名に持つ者として。  王国の第一王子たる私の名は、シュギル――――シュギル=アル=ウルドゥク。
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