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「本当に、ずっとずっと、です。ですから、私が『王子様』とお呼びして、それにお応えくださる幸せを、少しでいいので味わわせていただきたい、のです。巫女の修業をしている今年の間だけで構わないのですが……。あの、こんな図々しいこと……駄目、ですか?」
何と答えれば良いのだろう。この、慎ましい望みを口にする、可愛らしいひとに。
どんな表情で告げてくれているのだろう。それを思うだけで、胸が焦げそうだ。
恋の駆け引きなどしたことがない私には、こんな時に相手を満足させられる言葉が浮かばない。
だから、膝の上の華奢な身体を抱きしめ直し、頬ずりをもう一度。
そして、小さな頤に指を添える。
「ルリーシェ、呼んで?」
「……ぁ、っ……」
触れるだけの口づけをそっと落とし、促してみることにした。
「君の好きな呼び名で」
「……ぁ……おう、じ……さま」
初めて触れ合わせた、愛しいひとの唇。
柔らかなそこから漏れた吐息は、ひどく甘く、ひどく艶やかで。
「……もう一度」
「王子、さま……王子様っ」
私の好きな声に乗せられた、私の呼び名。
それが、堪らなく甘美な響きで空気を震わせ、ルリーシェの“想い”を私へと届けてきた。
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