188人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
歩を進める自分の前で、軍兵たちが道を開けていく。
次々と兵たちが動き、まるで波がふたつに割れたかのように、私が進むための道が出来上がっていく。
開かれたその道の向こうに、貴賓席が見えてきた。
皆、立ち上がっている。
父上。ミネア様。そして、カルス。
先程、ルリーシェに向けたものとは別の笑みが、自分の口元に浮かんだのを自覚した。
ルリーシェ。
これから先、あなたを想う度、呼びかけるための名を私に教えてくれてありがとう。
それがどれほど短い期間だとしても、私はその度に心を込めて呼びかけるだろう。
私欲のために創造神の使いに手をかけてしまった私は、きっと罪人として裁かれる。
もう二度と、私があなたと相見えることはないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!