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序文
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オトイネップのコタンでの話だ。
「北海道」もしくは「北加伊道」の名付け親である、松浦タケシロウが夜中にコタンの長老の元に呼び出された。
エカシ、即ち長老は囲炉裏端で朗々とコタンに伝わる伝承を唄う。
「わたしたちは自然に生きて、自然に生かされている。
全ての自然にはカムイが宿り、彼らとともにわたしたちは生きている。
カムイが輪廻し滅びない限り、わたしたちアイヌが滅びることはない。
あなたがいる大地、この自然、そしてわたしたち人間を、わたしたちはこう呼ぶ。
「カイ」この国に生まれたもの、と。
アイヌもカムイも、この約束の国なくして存在することはできない。
それを忘れた時、この大地に災厄が生まれるだろう。」
......と。
タケシロウは日本人としての自分と、アイヌ部族との約束として
「北加伊道」
そう名づけたのだ、という話さ。
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