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薬師である私こと小鈴は、数え年で14歳である。
女は家で子育てと家事、が一般常識である世間で、私の存在はあまりに異端だった。
両親を早くに亡くし、頼れる親戚も居なかった私は、父が教えてくれた薬草の知識や母の病の知識を生かし、薬師をすることにした。
最初は全く相手にされなかったが、優しい人々の助力もあり、今では薬の売上だけで、ご飯を食べていけるまでになった。
そんな私は、父から受け継いだ山で、薬草を採集していた。
海に近いこの山は、多種多様の動植物が生きている。
私は思案にふけりつつも、足下で儚げに咲いていた花の葉を摘み取る。
そして、薬草篭(かご)に入れる。
そろそろ必要なものは採ったため帰路につくことにした。
見慣れた獣道を進んでいくと、木々の間から村が見えた。
いつもなら、男衆は畑を耕し、女衆は洗い物をしながら、楽しそうに会話をしている様子が見えるのだが、様子が可笑しいことに気付いた。
あまりにも静かなのだ。
ふと、視界の端に、はためく紋が見えた。
一瞬だったが、あれは、確か…。
私は嫌な予感を覚え、足早に家路を急いだ。
自分の不安が杞憂であることを望みながら。
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