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――――結局、俺が発見されたのは……閉じ込められてから二ヶ月後だった。
見つかった時には意識を失い、死ぬ寸前だったとか……。
母親が見つけてくれたが、見つかるのが数日遅かったら死んでたかもしれないと医者は言っていた。
兎にも角にも俺は生き残った。母さんには感謝してもしきれない。
そこから俺は人生をやり直す為の努力を始めた。
そして数年後――自分の経験も踏まえ、独居老人や高齢者世帯向けのヘルプダイヤルサービスや定期巡回サービスを事業内容とする会社を立ち上げる事に成功した。
徐々に会員も増えてきており、売上は上々だ。これまで何人もの動けなくなった老人を助けることが出来ている。離れて暮らす家族からの評判も良い。
従業員も増えた。殆どが元ニートっていう異色のメンバーだが皆真面目に働いている。
ニートの中にも抜け出したいと考えている奴もいるし、キッカケが分からないだけの人もいる。一旦社会から離れてしまうと中々戻れないというのが現実であり、戻るには相当な勇気が必要だ。
心の中では、家族や社会への後ろめたさもあるが……どうにも出来ない。そういった状況はニートであった自分には良くわかる。
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