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「仲、いいようだな」
静まりかえった家で、先に口を開いたのは先輩だった
「まあこの世界の家族みたいなもんすからね」
そう、と先輩は言ったきり、俺の作ったご飯を温めて食べ始めた
静かな食卓
こんな先輩は初めて
すごい気まずい・・・
そんな感じのまま、後片付けもして、先に先輩を風呂に入れ、上がった後に続いて俺も入った
ゆっくりと浸かりながら、なんかしたかなーとかこのままは嫌だなーとか考えながらぼーっとしてたら長風呂してしまい、少しのぼせた
暑い体の上に服を着る気にもならず、上半身裸のままリビングに戻れば、先輩はまた本を読んでいた
扉の開いた音に気づいたのかこちらを見た先輩
「服くらいきちんと着ろ」
「少しのぼせたみたいで暑いんすよ」
コップを用意して魔法で水を出し、風で髪を乾かしつつ熱を逃がしていた
「便利だな」
俺を見ながらそういう先輩に少しドキリとしたが、さっきみたいな気まずさが消えたことに安心した
「先輩の髪も乾かしますよ」
そう言って先輩の隣にさりげなく移動して風を当てた
本当は移動する必要はないけど、なんとなく近寄りたくなった
風を当てつつ先輩の髪に指を通せば、サラッと抜けていく髪が気持ちいい
「気持ちいな」
すりっと手による頭と、先輩の言葉に勘弁してくれと思った
麻薬のように一度ハマるとやめられない
・・・どんどんハマっていく、先輩という麻薬に
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