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美味しいご飯を完食し、あと片付けも終え今は風呂に入っていた
なんか10年目に色んなことがどっと来た
レイさんが来て、恋人になれて、ラックが来て
数ヶ月前は1人で食べてた食事も今は必ずレイさんと食べている
こんな幸せ味わっちゃっから、居なくなったらきっと耐えきれないだろうな
と、思ったがレイさんを疑ってるみたいで嫌だとおもいやめた
レイさんはほんとにあの頃じゃ考えられない甘い顔をして甘い言葉を吐いて、俺を雁字搦めにする
ラックも数日前の悲しみと不安に塗れた顔ではなくなり、毎日楽しそうに無邪気な姿にあれが本来の姿
なんだと思えば、それも嬉しく思う
地球でも、この世界でもいいやつはもちろんいたがやはり根の腐った奴も多かった
皆がラックのようにとは言わない
けどもっと身近なものにささやかな喜び幸せを感じられるやつになれば、大きな成長に繋がるだろうに
「はあ」
そろそろあがるか
体を拭いてリビングに戻れば、ラックは居らず、ソファで本を読むレイさんだけがいた
「ラックは?」
「疲れたんだろう、さっき寝かせてきた」
まああんなにはしゃげばそうもなるか・・・
「髪濡れてるぞ、こっち来い」
「そこにか?っていうか自分で乾かせるし」
レイさんがこっちと指したのはレイさんの足の間
それが恥ずかしくて断ろうとしたが手を引っ張られるあっという間に足の間に収まった俺
諦めた俺はソファを背にするように座り込んだ
上から当たる生暖かい風に眠くなってくる
「サクの髪はフワッとしててさわり心地が良いな」
撫でるように触る手に変な気分になりそうだ
「レイさんはサラサラでいつまでも触っていたい髪ですよね」
伸びた髪を結っていたレイさんは風呂上がりだから下ろしていて、下にいる俺はその長い髪に手を伸ばし指を通した
「髪、伸びたな」
そういえば最近切ってなかったなと思い至った
「お揃いだ」
そう笑う顔を直視できず顔を正面に戻した
切らなくてもいいかな
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