同居ですね

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「先輩、ご飯ですよ」 本に没頭している先輩に声をかけるが、世界に入ってしまった先輩に声は届かない こんな所も変わらないな、と笑いそうになる 結局あれから話し合った結果、この世界に慣れるまでは、とりあえずここで魔法などについて教えることになった それまでは同居ってことだよな やべえ それは置いておいて。一度本を読み始めると先輩の意識を戻すのが大変なので、先輩の座るソファ向かいに腰を下ろし、横になってぼーっと見つめてみた こういう時しかじっくり見れることはないからな 相変わらず姿勢も綺麗だし、長いまつげに伏せられた目と、赤い唇は一種の芸術にさえ見える これで中身もいいんだ、モテるはずだよな こんな俺にまで惚れられてさ・・・ 無音の部屋に響く、先輩の綺麗な指が捲る本の音 この空気の心地良さにウトウトしてきた あーガキじゃねえのに、馬鹿みたいに一途に思って馬鹿じゃねえのって思うのに この先輩見てると、そんなのどうでもいいくらいに近寄りたい触りたい でも先輩にとっては迷惑でしかないこの思いは、胸に留めておくんだ それが互いのためだと思ってる
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