TK=Tree of ume in the Kingdom(はじまりの青)

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カシュー家の別宅を訪問する。 「あ、南衣ちゃん、久しぶり」 細い体に大きいお腹の茶緒に出迎えられる。 元気そうでよかった、という茶緒の笑顔に安心する。 カシュー家の別宅には使用人が二人いるだけで、あとは通いの看護師と在宅医療の医師が見守る。 静かな別宅。 都会の喧騒は聞こえない。 「病院で別れたきりで、ずっと連絡してなくてごめんなさい」 ずっと言えなかった一言を言う。 茶緒は、ううん、いいのよ、と微笑んで、 「南衣ちゃんにも、迷惑かけたから」 謝らないといけないのはあたしの方、と少し顔を曇らせた。 「あ、えっと、予定はいつなの?」 出産予定日を尋ねる。 「3月の初め。」 お腹を撫でる。 「へえー」 「南衣ちゃんも、すぐかもね」 えええええ。 「いや、ははは」 「式は11月だっけ?」 さすが、情報は遅れを取っていない。 「あ、うん。」 「おめでとうございます。」 ペコリと礼をとられる。 「いや、えと。」 「式の後も、学校行くから。」 卒業してから、子供のこととかになるかな、と、曖昧に笑う。 それに。 「あたしは、知らなかったんだけど」 「魔力が強い王位継承の世継ぎって」 「流産しやすいから」 「あんまり早くない方がいいんだって」
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