私の家族

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下校、改札を出て、左折する。 まっすぐ進むと人通りが減って 少し治安が悪い所に出る。 居酒屋とか怖い人の事務所、 トタンでできた壁の家、 新聞紙の上で寝るホームレス。 それらを抜けたら私の家につく。 ? 家に入ると部屋が暗い。 ただいまと呟いても返事はない。 11時頃に帰る父と朝帰りする母は まだ仕事だろうから。 私は家の食べ物を適当に漁って、 風呂にはいって寝る。 これが私の日常。 私が寝ようとした時に玄関の扉が開く。見に行くと父と目が合った。 「もう寝る時間のか」 「うん。おやすみなさい」 お酒と煙草、汗、 色んな臭いが混ざっている。 布団に入っていると 一枚扉を挟んだ向こうから先程より、 強い煙草の臭いが漂っているのに 気がついた。 吸ってるのかな。 冷めた毎日を送る。 何も変わらない。 なにか刺激が欲しいと願う。 そう願いながら、 煙草の香りと寄り添って眠りについた。 ? 朝起きると、母がいた。 赤い口紅に 露出度の高いドレスを着ている。 「おはよう」 「お母さん、今帰ってきた?」 父と同じ煙草の匂いを 纏っていたドレスから寝間着に 着替えていた。 「うん。父さんはさっき出ていったわ」 灰にまみれた くしゃっとされた煙草が1本あった。 両親は揃って喫煙者だ。 ストレスを伴う仕事前には 吸っていくのが習慣らしい。 「私も着替えてご飯食べたら行くよ」 「じゃあ今日はご飯作ってあげる」 キッチンに向かう母を見てから、 洗面所にいった。 顔を洗うとき鏡の自分と目が合う。 疲れたような、そんな顔。 私は毎日この顔をみると、 同じ1日が始まることを予感して 虚しくなる。 私が毎日意味はあるのかなと、 迷ってしまう。 ? 着替えている間に 母がお弁当を作ってくれていた。 「今日は機嫌がいいの?」 「たまにはしてあげなきゃって 思ってはいるのよ、嫌だった?」 「嫌じゃないけど。珍しいから」 珍しいけど、たまにあること。 私はそのお弁当を持って学校へ。 毎日は繰り返しなんだって思ってた。 でも違った。 目に入ったのは人だかり。 そして、私に声が掛かった。 声を掛けた人は、消防士の男の人。 焼けた肌にすすをつけて、 汗が滲んでいる。 「ご家族の方ですか?」 その言葉に私も汗が滲んだ。
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