風邪の谷のウマシカ

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★ むかーし、むかし、あるところに、腹ペコ娘が住んでいました。 その娘が住む荒ら屋の隣にある庭に、それはそれは立派なサルスベリの木が生えていました。 このままだと前の話と同じになっちまうですんで、その話はオイトイテ…… そのサルスベリの木は小高い丘の上に生えていました。 実は、そのサルスベリの木は山の中に生えていて、うっそうと木々が茂る森の小脇にある丘の原っぱにポツンと生えていたりします。 そして、うっそうと茂る森の小脇にイキナリ開けた原っぱ、そこに生えるサルスベリの木から南へ20メートルも歩いたならイキナリ崖になっていたりもします。 そう、サルスベリの木の間近に風邪のウイルスがウヨウヨ住まう崖の谷があるのです。 腹ペコ娘は知っていました。その崖の谷に近づくと風邪を引いて脳ミソがお馬鹿さんになるという噂を。 「あ、どうしよう……あらひ、また一発ギャグを思いちゃったみたいな……」 そう、また腹ペコ娘は一発ギャグを思いついてしまいました。でも、あまりにも下らないオヤジギャグ過ぎて、誰かに言ったなら、もう、間違いなくサルスベリの幹に負けない位にスベリまくりんするだろうと思い悩み、せっかく思いついた一発ギャグではありましたが、とても他人様には言えず、かれこれ半年ばかりもモンモンとしまくりて暮らしていました。 でも、また腹ペコ娘は我慢仕切れなくなったのか、草木も眠る丑三つ時に風邪のウイルスがウヨウヨ住まう谷を見下ろせる崖に行き、人っ子一人居ない暗闇の中、腹ペコ娘はその谷に向かって叫びました。 「風邪の谷のウマシカぁー!! ああ、スッキリした……テヘ、ペロ」 めでたし、めでたし。 ★image=504425818.jpg
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