第1話

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「いきなり乱入してきて何だテメー! 一番そういうのがヘド出んだよ!?」  「…あんた色んな武器使うんでしょ? でも、ちょっとタイミング悪かったね?」 「ごちゃごちゃうるせぇッ」 金属のかち合う音が車内に響いた。 「私の、獲物と相性抜群」 毛布を脱ぎ捨てた彼女は、両手にトンファーを持ち、武器女の刃物をそれで受け止めていた。  「はッ そんなカビ臭ぇ武器振り回して、調子乗んな!?」  二人とも凄まじい身のこなしで、高速のハイレベルな攻防が続く。身体能力的には拮抗しているようだった。 「はっ 言うだけあるな? でも、それじゃ防げても殺せねーだろ? いずれ、疲れた時にこっちの致命的な一撃を―」 「そうだね、このままじゃ―」 彼女は刃を左で受けた瞬間、右のトンファーをその円盤に振り下ろした。 衝撃を受けた円盤型の刃物の刃は、いとも容易く欠けた。 「!?」 「やっぱり、鋭さと軽さ重視で極限まで薄くしてる分、側面からの衝撃にはモロいね?」  リング女は信じられないと言った顔をして、わなわな震えた。ヒトミは続けた。 「でも、あんたの強さなら、片方だけでもイケるでしょ? 合わせよっか? 何なら素手でも――」   次の瞬間、円盤女は、もう片方の刃物も放り捨てた。
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