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「呪力っていうのは本来、人間に扱いこなせるもんじゃないの。リスクも大きいし、利用するっていうより蝕まれる感覚のもの」
ヒトミは冷や汗をかきながら説明した。
「でも、後先考えない自分の命と引き換えなら、相手を死に至らしめる呪力も借りれるって聞いた。捨て身のテロだね。でも、死んですら蝕まれるって話なのに……あんた分かってるの?」
「説得なんかムダだ。どっちにしろもう作動したら、後戻りは出来ねぇ。俺はこの時のために飼われてた。言っとくがもう、俺を殺してもムダだぜ?」
「ぐっ…」
「ヒトミさん、しっかり!?」
ヒトミはどんどん締め付けられていった。隣にいるヴィムは為す術なくヒトミを支えるのが精一杯だった。赤い靄はヴィムにも手を伸ばさんばかりだった。
すると、不意にヒトミがヴィムに、
「ねぇ、あんたさ、解放するから―」
「はい」
「逃げなよ?」
「……」
そうして、ヒトミは鍵は腰の袋に入ってると指示した。
「あいつは賞金稼ぎ限定だって言ってるけど、これだけ近くに居たら、巻き添え食うかも知れない。二人とも死ぬことないでしょ?」
「ヒトミさん―」
「こういうのも覚悟しとかないと、やってらんないからさ?」
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