第1話

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  「呪力っていうのは本来、人間に扱いこなせるもんじゃないの。リスクも大きいし、利用するっていうより蝕まれる感覚のもの」 ヒトミは冷や汗をかきながら説明した。 「でも、後先考えない自分の命と引き換えなら、相手を死に至らしめる呪力も借りれるって聞いた。捨て身のテロだね。でも、死んですら蝕まれるって話なのに……あんた分かってるの?」  「説得なんかムダだ。どっちにしろもう作動したら、後戻りは出来ねぇ。俺はこの時のために飼われてた。言っとくがもう、俺を殺してもムダだぜ?」 「ぐっ…」 「ヒトミさん、しっかり!?」 ヒトミはどんどん締め付けられていった。隣にいるヴィムは為す術なくヒトミを支えるのが精一杯だった。赤い靄はヴィムにも手を伸ばさんばかりだった。 すると、不意にヒトミがヴィムに、 「ねぇ、あんたさ、解放するから―」  「はい」 「逃げなよ?」 「……」 そうして、ヒトミは鍵は腰の袋に入ってると指示した。 「あいつは賞金稼ぎ限定だって言ってるけど、これだけ近くに居たら、巻き添え食うかも知れない。二人とも死ぬことないでしょ?」 「ヒトミさん―」 「こういうのも覚悟しとかないと、やってらんないからさ?」
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