第1話

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しばし圧倒されていたヒトミが我にかえった時には、絡みついていた靄は、いつの間にか消えていた。そして、近くでうずくまり肩で息をしていたLに近寄った。 「あ、あんた、すごいじゃん? 死のリスクをともなった呪力を吸収しちゃうなんて?」 「……っせぇな?」   「え?」 「俺に気安く―――いッ」 ヒトミはなぜか、反射的にヴィムの頭をはたいてしまった。 「おーい……もしもし?」 「…あ、はい…何ですか?」 「――えっと大丈夫?」 「はい…何とか…」 「すごい苦しそうだけど?」 「死に至らしめるほどの呪力を、いっぺんに吸い取ったんで」  「そっか…ごめんね、私のために―」 倒れているさっきの男を見てヒトミが聞いた。 「そいつは…?」 「それが、分からないんですけど…」 「あ…!」 よく見ると、男は苦しそうに横たわっているが、生きていた。
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