4人が本棚に入れています
本棚に追加
しばし圧倒されていたヒトミが我にかえった時には、絡みついていた靄は、いつの間にか消えていた。そして、近くでうずくまり肩で息をしていたLに近寄った。
「あ、あんた、すごいじゃん? 死のリスクをともなった呪力を吸収しちゃうなんて?」
「……っせぇな?」
「え?」
「俺に気安く―――いッ」
ヒトミはなぜか、反射的にヴィムの頭をはたいてしまった。
「おーい……もしもし?」
「…あ、はい…何ですか?」
「――えっと大丈夫?」
「はい…何とか…」
「すごい苦しそうだけど?」
「死に至らしめるほどの呪力を、いっぺんに吸い取ったんで」
「そっか…ごめんね、私のために―」
倒れているさっきの男を見てヒトミが聞いた。
「そいつは…?」
「それが、分からないんですけど…」
「あ…!」
よく見ると、男は苦しそうに横たわっているが、生きていた。
最初のコメントを投稿しよう!