第1話

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「でも、それだけでいきなり賞金首なんですか?」 「ただの犯罪者にするより、そっちの方がお金になるから?」  「はぁ…」 「っていうのは冗談として(でも、ないけど)、読むだけで、結構危険なのとかあるからさ」   「何らかの呪文とかですか?」 「そう。それを、高い複製技術や印刷技術を持ってる奴らが、全然関係ない本に巧妙に紛れ込ませたりするの」 「何でそんなことを?」 「まぁ自分じゃ実験したくないけど、他人でなら試してみたい禁呪とかをね? あと単純に性質の悪いイタズラとかも多いし」 「ひどいですね」 「それに見事に引っ掛かっちゃったね? まぁ大玉じゃないだけ良かったかも。いきなり死んじゃう事とかも稀にあるらしいから?」 「……」 「ただ、あなたの場合は自分の呪いで何とか――っていう都合のいいもんでもないか?」 「……僕が唱えた事による被害はどうなんですか?」 「直接的な被害は今のところ届けられてないね? 唱えたら必ず発動するわけじゃないから。だからこれだけなら注意指導って感じだったけど…それだけの罪にしてはやっぱり高額過ぎるね。ちょうど滞在してた地域に近かったし、割のいい仕事だと思って飛びついたんだけど…」  ヴィムは、この自分についた懸賞金に対して不穏な空気を感じた。
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