第2話

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ヒトミはいきなり話に入ってきた人間にビックリした。 「うぅ、寒――そろそろ、話は一段落しましたか?」 さっきのトレーナーの青年だった。熱々のコーヒーを両手に持っている。 「あ、すいません。盗み聞きするつもりは無かったんですけど、耳に入ってしまって?」 そう言いながら被っていたキャップを取った。金髪で恐ろしく顔が整っていて、特徴のない無地の黄色いトレーナーにGパン。そんなありふれた格好だと、余計に顔の良さが際立って見えた。 「あ、これ。カウンターで一つって頼んだら二つ来ちゃったんで、どっちか要りません? まだ熱々ですよ――」 そう言いながら、片方をずずっとすすった。 「何、こいつ…知り合い?」 ヒトミがいぶかしげに聞くと、ヴィムが言った。 「ヒトミさん、すいません…連行は、また今度ってところで」 「え? やっぱり逃げるの?」 「すいません―」 「ちょっと―」 ヴィムはいきなり席を立って駆け出した。ヒトミも続いた。
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