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しかし、空を切った。
「秘密にしておきたいんですか?」
ヴィムが横を向くと、アレンは逆さになって、空中で手を広げていた。
「別にそれならそれで、告げ口とか柄じゃないですけど―まぁ」
その状態からヴィムにオーバーヘッドキックを入れた。
「ぐっ…」
「こっちの”干渉”にも付き合ってもらえるなら?」
着地し、立ち上がったアレンに、ヒトミは再びトンファーを振り上げたが、避けられ、簡単に後ろを取られた。
「…できますよ?」
「え?」
背後から、耳元でアレンが囁く。
「彼の呪いは色んなものを、吸収できます。本人は全く活用する気がありませんが」
ヒトミはトンファーを後に振り回したが、アレンは大きく後方に飛んだ。
ヒトミはそのタイミングでアレンに催涙弾を投げた。
目眩ましだった。
そのまま、ヴィムの手を取ると、高台から飛び降りた。
下は鬱蒼とした雑木林になっていた。
アレンは煙を手であおぎ、上から見下ろしながら、呟いた。
「あーあ、まだ肝心なことを伝えてなかったのに――慌ただしい人たちだなァ?」
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