第3話

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第3話

ある島の浜辺を一人の少年が歩いていた。少年の名は、ヴィム・ノートン。 彼はわけあって家族と離れ離れになり、ある集団にくっついて航海に出たところ、漂流し、原住民の住むこの島に流れ着いたのだった。  それからすでに数ヶ月ここに滞在している。最近は毎朝、浜辺を歩いて珍しいものを拾うのが日課だったが、その日の漂流物は特に変わっていた。 ボロボロに擦り切れた服の、ヒゲ面の、小汚いおっさんが倒れていた。ヴィムは慌てて駆け寄った。 「おっさん!? 大丈夫かよ、おい!?」 「ぐっ…」 「しっかりしろッ 水持ってきてやるから!?」 ヴィムや周りの人間の手厚い看護で、男は数日で比較的いいすぐに回復した。 男はマトフといい、地質調査や民族研究をやっているのだというが、どうにも胡散臭かった。
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