第3話

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それから数日後に宴が開かれた。 皆の酔いも回った頃、ヴィムが不意に夜風に当たりたくなり、浜辺に行くとマトフがいた。一人でどっかり座り込んで酒をあおっていた。 「よう少年? 飲んでるかぁ? くくく」 「もう飲んで大丈夫なのかよ?」 「はは、まぁ酒が薬代わりよ」 「そんなこと口に出す奴、初めて見たぞ?」 「いや、でもだいぶマシになったぜ? ありがとな?」 「まだ、かなり顔色悪いぞ?」 むしろマトフの目の下は前より黒く、落ち窪んでいるように見えた。 「お前も飲むか?」 「え、やった! いいのか? 大人は飲ませてくれないんだよ」 ヴィムは小躍りした。マトフが尋ねる。 「お前、話が分かるな? 歳は?」 「10才」
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