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「…お前ら、放流型の民族とは違うよな? ひょっとして、同じ事情を抱えた集団か?」
「うん」
「身内に誰か強大な力なり、権力を持ってる奴がいて、とばっちりを食ったパターンか?」
「そうだよ、俺は家族を守れなかった」
ヴィムは、うつむいてマトフのついでくれた酒を、また一口飲んだ。マトフも神妙な顔で語った。
「懸賞金の制度で、一部の奴にますます金が集まる一方で、その親族や近辺にも被害が及ぶようになった。金が絡んでる分、犯罪者の身内より扱いが悪かったりするもんな?」
「いつかあらゆる力を手に入れて、家族を取り戻したい。それでその強さで、誰もが憧れるような英雄ヒーローになり上がりてぇんだ、あいつに負けないぐらいの」
「何で英雄が、こんな辺ぴなとこで島流しにあってんだ?」
「俺は、家族と一緒に住めなくなって、最終的にここの集団にくっついていくことになった。なんか、しばらく世間の目が届かない暮らしをした方がいいって結論らしくてさ。それで、海を渡る途中、嵐で進路が大幅に狂って、この島にたどり着いたんだけど、この島の原住民たちに食い物とかもらって助かったんだ」
「原住民なぁ―」
マトフは意味ありげな反応をした。
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