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そうして、しばらく宴を満喫していた。
交流会とは言っても、彼ら原住民がこちらに混ざる感じではなく、仮面を被って集団で踊りを見せたり、歌ったりを繰り返していた。よく疲れないなと思った。
そして突然、奇妙な踊りを披露していた原住民たちが、こっちに来て、隣の大酒飲みの男の手を引っ張った。
「ん、どうした? 俺になんか用か?」
男は、かなり酔いが回ってるのもあってか、抵抗なく立ち上がって、ついていった。何かよく分からないが、余興に付き合わされるぐらいの感覚だったのだろう。
――珍しいな あいつらが自分から…?
ヴィムは、後をつけてみようと思った。
彼らは森の奥の、人気のない方へどんどん進んでいく。
大酒飲みは「おーいどこまで行くんだ?」と聞きつつも、しどろもどろで呂律が回ってない。
しばらくすると、少し広い空間に出た。
少し距離を取って、草むらから覗くと「何だよ、ここはー?」と尋ねる男に対して、何やら身振り手振りで伝えようとしている原住民。
すると、突如原住民たちが仮面を取り、大酒飲みの男に迫った。
「おいおい、何だよ、お前ら ちょっと おい 何するんだって、やめろ――」
目を凝らして見るとその三人の見た目から、様子がおかしかった。
よだれを垂らして、目は濁り、焦点も合ってなくて朦朧としている。生きているのかすら疑わしい。
生き人形…これが…この部族の正体?
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