第4話

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第4話

ヴィムは、命からがらマトフの導きで何とか人目のつかない、浜辺までたどり着いた。マトフは言った。 「…しかし、やべぇな。こりゃリミッターはもうすぐだ」  「早く…早く逃げないと…」  「もう遅ぇ…長い時間かけてお前らの仲間を懐柔しちまってるからな?俺らがわめいたところで、この前みたいに、誰も聞き入れねぇだろう。そのうちに―」 「どうすりゃいいんだよ?」 「手が無いわけじゃねぇ」 「え?」 マトフは懐から小さな壺を出した。 「この極上モノなら、むしろお釣りが来る」 「…何だそれ?」 「俺がのたれ死にそうになってまで、こんな危ない場所をうろついてた理由だ。荒らされてない分、いいレアものが転がってる。希少な生き物だけじゃなく色々、呪いとかな?」 「呪い…?」 「俺はちょっとした呪いの研究家でもあってな? 呪いにはいろいろ特性がある。その中でも、この極上モノのそれは吸収だ」 「吸収?」 「あらゆるものを呑み込める。これを体に取り込めば、その能力が使える」 「それで――あいつらを、片っ端から吸い込めるのか?」 「ダメだ。それじゃ、お前の体が持たねぇ」 「え?」
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