第4話

2/8
前へ
/51ページ
次へ
「一回力を使うと、凄まじく消耗するんだ。ましてや、お前は子供。吸い込めたとしても、一人がギリギリだ。それ以上はやらない方がいい」 「たった一人だけ!?」 「島バミには母体になる生き人形がいる。命令を下してる奴だ。そいつを吸い込めれば、非力なお前でも、一網打尽に出来る。そいつは、だいたい人目のつかない山奥で、部族みたいな家をカムフラージュにして、生き人形たちに周りを守らせてる。忍び込む方法はあるにはあるが…」 「……」 「どうする? 俺は正直、そこまでのリスクを犯してしてまで助ける気概はねぇ。だが、お前には恩があるから、これをくれてやってもいい」 「まず呪いがお前を受けつけるかどうかだ。相性が悪けりゃそれまでだ。そして、山の上の心臓部までたどり着けるかどうか。わざわざ危険な賭けに出るぐらいなら、全てを切り捨てて―」 「ここまでずっと、漂流とか、遭難とか、苦難を一緒に乗り越えてきた仲間なんだ。今の俺にとっては新しい家族なんだよ?もう二度と…失いたくねぇ」 「よし――お前の覚悟、しかと受け止めた」 マトフはヴィムに壺を渡した。 「その壺の栓を開けろ?」 「……」 「栓を開けた奴に飛び掛かる。ただし、相性が悪きゃ、そのまま喰われる危険もあるぞ?」 もう迷ってる時間はない。ヴィムは決死の覚悟で、栓を開けた― 
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加