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中は割と広かった。一人の男が目をつぶって、胡座をかいていた。
こいつが…?
ヴィムが一歩踏み出そうとすると、母体の男は、目を見開き、凄まじい形相で睨みつけた。待っていたかのようだった。
何やら凄い勢いでまくし立ててきたが、もちろん何を言ってるか分からない、そもそも言葉なのかも。
さすが母体というべきか――全身からかもし出すオーラというか、気迫みたいなものが、伝わってきて圧倒された。
―気圧されるな
もはや今にも、ヴィムを殺し掛からん形相になった。いつでも襲いかからん勢いでじりじりと距離を保つ。
ヴィムは、決死の覚悟で能力を解放させた。
頼む、俺に力を――今こそ、それを欲する時だ、解き放て――
その瞬間、自分の中から凄まじいエネルギーの塊のようなものが解放されるのが分かった。自分の腕や体を見ると、黒い瘴気のようなものが立ち込めていた。
―これが 呪いの力?
まるで、極上のエサを前に舌なめずりでもしているように自分の周りを黒く渦巻く。
母体の男は、ますます殺意を露わにした目を向けてきた。
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