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「お前 何やってるんだ、ここで?」
「あ―」
見ると、山に連れられて行ったリーダーたちが揃っていた。ヴィムは反射的に声をかけた。
「良かったッ みんな生きてたのか!?」
「何を、言ってるんだ?」
「え?」
いぶかしげに聞き返され、ヴィムは問いかけた。
「だって皆、山に連れてかれて喰われそうに―」
「ああ、詳しく説明できなかったから、子供にはそう思われても無理なかったか」
「…?」
「彼らは神聖な儀を山奥で、長い期間、密に行なう風習があるんだ。それについて、部外者の俺らは、一部の代表を除いて、完全他言無用。プライベートでもなるべくお互い最低限しか関わらないようにしてた。
しかし、この島で生活するようになって一定期間が過ぎてようやく、島の仲間として受け入れられるための儀が整ったんだよ。その宴だったんだ。
代表の俺らは違う家で、神聖な儀に参加するっていう役目があって、さっきそれが終わったからもう全てうちあけられるんだが、長いこと曖昧にしてて悪かったな?
ただ、祈祷師が不穏な影がまだ晴れないから、もう少し篭もって祈ると言ってたんだが―」
「……」
「それでヴィム、彼はどうした?」
「え?」
「中でずっと祈祷していた彼、アルジャは? 彼のとりおこなう神聖な儀が災いを鎮めていたらしい。実際、ずっと篭って祈りを捧げていたんだ」
ヴィムは目の前が真っ暗になった。
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