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「信じられねぇ ここに居んのは、それなりに名折れの奴ばかりだぞ、あんなオモチャみたいなリン―」
彼女はその瞬間リングを投げ、それは綺麗に弧を描き、その言葉を発した男の喉を切り裂き、再び手元に収まった。
「だからァ言葉に気をつけなって? 死ぬにしろ、散り際ってもんがあるでしょ?」
彼女は飄々とした語りで、悪意の笑みを浮かべた。
「尊厳もなくグチャミソにされたい?」
「た、助けてくれ!?」
その時、一人の男が彼女にすがった。
「俺はもう、足洗いたいんだッ ちょうどそのつもりで―」
彼女は呆気にとられた顔をした。
「てめぇ!? 今さら裏切る気か!?」
「うるさいッ どうせ逃げたって、こんな化けモノに追われるんじゃ、先行きが知れてるッ」
男は彼女に向き直り、命乞いした。
「頼む。俺はいろいろ情報持ってて、必ず役に――」
「あーごめん私、殺し一択なの?」
「へ?」
「だって、とっ捕まえて連行とか聴取とかダルいじゃん? 殺して、処理班に申告すれば一発だし?」
「……」
「ってなわけで」
「ちょっ――あぶ」
彼女は容赦なく円盤を振り下ろした。
「さ、お次の自殺志願は?」
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