漢の散り際は、櫻の如しが華と見ゆ

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 綺麗に咲いた櫻を見上げていると、彼らとの想い出が甦って来た。 「いーか?男はなぁ、太く短く潔く。そう生きる気概が大切なんだぞ!」 「いやいや課長、太くて長い方がモテますって」 「バ、バカヤロー!大きさじゃねー、硬い方がいーんだよ!」 「何の話してんっすかあ。もぉー、下ネタやめましょうよ」  あの頃、飲むと大体こんな調子でバカな事ばかりやっていたな。  私が敬愛していた彼らと別れの挨拶が出来なかった理由は、この櫻の下で花見をした時の事件だった。  あの時、会社を辞めることが決まっていた私は皆に別れの挨拶をする予定だったけれど、みんなベロンベロンに酔って愉しく飲んでいたが些細な事で揉め事が起き、収拾がつかなくなってしまったその時にその事件が起きた。 「ワハハ、ワハハハハハ」  遠くから、高らかに笑いながら走って来た先輩。  彼はパンツ一丁の姿で、鉢巻きに懐中電灯2本をさして光らせ、両手には1メートルくらいのハリセンを持って誰彼構わず殴りながら走っていたのだ。  皆、度肝を抜かれて喧嘩どころでは無くなり爆笑したけれど、彼のハリセンが炸裂した相手が悪かった。
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