店空の白ラピタ

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★ むかーし、むかし、あるところに、腹ペコ娘が住んでいました。 その娘が住む荒ら屋の隣にある庭に、それはそれは立派なサルスベリの木が生えていました。 ↑ って、「またかい!!」と思ったあなたは本当に素敵な人です。なぜなら、前作の「風邪の谷のウマシカ」も、処女作の「となりのとろろ」も、それらを完全コンプリートなさりてくださっているからです。 ↑ なんていう、楽屋ばなし炸裂ちゃんな与太ばなしはオイトイテ…… そのサルスベリの木は小高い丘の上に生えていました。 実は、そのサルスベリの木は山の中に生えていて、うっそうと木々が茂る森の小脇にある丘の原っぱにポツンと生えていたりします。 そして、うっそうと茂る森の小脇にイキナリ開けた原っぱ、そこに生えるサルスベリの木から東へ318メートルも歩いたなら、見渡す限りの広大な原っぱに忽然と、『ラビタ』という店名の、凄まじく小ぢんまりとしてお粗末な個人経営の商店があったりします。 そう、サルスベリの木から遠くない所に、コンビニみたいな小さな店舗で『ラビタ』という店名の、決してコンビニなんて言うに相応しくなくて、買い物客なんて滅多に見られやしない、朝から晩まで閑古鳥が鳴いている寂れた個人商店の『ラビタ』があるのです。 「でもね、そんな寂れた個人経営の商店でもね、その寂れた店しか無いのよ」 そうなんです。四方八方の地平線の彼方まで広大にダダっ広い原っぱには、残念ながら、おはようからおやすみまで買い物客なんて滅多に居やしない寂れた個人経営の『ラビタ』商店しか無かったりします。 「オナカすいたわ。何か食べ物を買って来なきゃだわ」 腹ペコ娘は仕方なく朝から晩まで閑古鳥が鳴いている寂れた『ラビタ』商店へ買い物に行きました。 「いらっしゃいませ。今日は呪いの儀式に最適な手作りワラ人形がお買い得ですよ。それに、儀式に使う手作りロウソクも、火に油を注ぐベンジンもお買い得です」 なんて、商売をする気満々な店主は、あらひが店内に入るなり、もう、元気イッパイに売り言葉を投げて寄越したんですけんども、あらひはペコペコなオナカを満たすために買い物しに来てるんなんて、そんな来客の空気を全く読めない店主だったりしますです。 っていうか、呪いのワラ人形とか、呪いの儀式に使うロウソクとか、呪いのワラ人形を盛大に焼くベンジンとか、そんなんじゃ腹ペコを満たせやしないんで…… ★image=504428356.jpg
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