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「先程ルナの気が乱れた…何かあったか?」
グレイの問いかけにモーリスは頷いていた。我が主人に隠しだては出来ない。
「ルナ様の傍にリドリーが近付きましてございます」
「リドリー…やはりきたか」
「はい」
「何をしようとしていた?」
「危うくルナ様の首に食らいつくところでございました」
「そうか…やはり血の誘惑には勝てないか……」
モーリスは無言で頷いた。
「他の魔物達もルナの存在に気付き始めているようだ…少し警戒して問題はないな」
「ええ、私からもそう願います…ルナ様は旦那様の大事な婚約者でございますから」
「やけに念を押すな?そんなにルナが気に入ったか」
グレイは尋ねた。
モーリスは深く頷く。
「私は旦那様がルナ様を選んでくれてホントに感謝しております…娘と過ごせなかった時間を今、叶えて頂けてると私は思ってございます…ルナ様が邸に来られてからの私はとても充実してございます」
グレイはふん、と鼻で笑う。
「ルナは俺にとっても特別だ…お前に言われるまでもない」
「その言葉をルナ様にも言って欲しゅうございますな…すれば、まだ安心できますでしょうに」
「くくっ…あれにそんなことを言ったとて疑うだけだ。あれはヤケに意地を張る…欲しがりながら拒否する。ガキはめんどくさい」
グレイは笑いを含んでそう言いながら瞳に柔い笑み浮かべた。
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