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「拓斗さん、どないしたん?」  行為の後、荒い呼吸が落ち着いてくると、ぎゅっと抱き込まれた。何度体験しても自分が大切な宝物のように扱われることに驚いてしまう。緊張して、身体をびくんとこわばらせると、彼も慣れたものなのか、くすっと笑った。  彼は関谷より6つ年下の25歳。  見た目の印象よりは大人だったが、それでも随分年齢が離れていることには変わりない。それに無趣味で、会社と家を往復するだけの関谷といて、退屈しないのかいつも気になってしまう。 「一緒にいること、なんか慣れないなあと思って」 「うそやん。それってオレがじゃまやってこと?」  彼はいつのまにか転がり込むように関谷のマンションで暮らし始めた。堅苦しい性格に自覚のある関谷だったが、なぜか彼の踏み込み方は不快ではなかった。関谷は慌てて首を振る。 「そうじゃなくて……陽太くんみたいな今どきの子が、僕みたいなのと一緒にいてくれることが不思議で」 「僕みたいなて……拓斗さんだって今どきの人でしょ。それに……そんなん、一緒にいたいからに決まってるやろ?」     
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