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「つれないなあ。せっかくのかわいい顔が台無しだよー、関谷」 「かわいいなんて言うの、専務くらいです。本当に迷惑なのでやめてください」  毎日真面目に秘書を務めているのだから、容姿や仕草ではなく仕事で褒めてもらいたいが、自分の力量ではそこにふれてもらえないのは仕方ないのだろうと、関谷は内心でため息をついた。 「ああ、それが上司に対する口のきき方なのかねえ……」 「そう思うなら、部下に対する態度も一般的なものにしてください」  瀧川にからかわれるたびに動揺してしまい、部下にあるまじきことを口走ってしまう。子どもっぽい反論こそが、瀧川の思うつぼであるとわかっているのに。普段ひどく真面目で堅物の関谷が怒りをあらわにすることが面白いらしく、咎められたことはない。 「はいはい……おー怖い。うちの秘書は最強だね。さすが、幹部たちがこぞってお前を秘書にしたがるだけあるわ」  一瞬耳を疑った。仕事のことでうれしいことを聞いた気がするが、ありえない。きっと気のせいだろうから、流すのが正解だと思ったが顔が熱くなってくる。 「……それは、専務が人を使うのがとてもお上手だからだと思います」 「急にしおらしくなっちゃって。どうしたの?」     
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