22/33
前へ
/33ページ
次へ
 歌声は初めて聴いたが、バックに流れる曲のボーカルが陽太の声だ。映像のギターを弾きながら歌う人物のシルエットもそうだ。 「うそ……」 「関谷ってこういう系好きなんだ。ちょっと意外」  息を呑んでいた関谷に、瀧川が画面を指さした。 「いや……あの、……」 「ボーカルの子、この間カミングアウトしたんだよね。ちょっと話題になってた」 「カミングアウト……ですか」 「ゲイだって。ファンは若い女の子が多いから、大変な騒ぎだったみたいよ」  画面の中ではちょうど、その話題に触れていた。 「陽太さんのカミングアウト、一部ではメジャーデビューの話題作りだなんて言われてますが」  彼は司会者をしっかりみつめ、覚悟を決めたように頷いた。 「タイミング的に、そうとられてしまうのは仕方ないんかなと思います」 「少し前にあった、例のタレントさんの件と関連はありますか?」 「うーん……関係なくはない……かな」 「あ、これって結構人気のあるタレントがこのボーカルとつきあってるって交際宣言しちゃったんだよな。ストーカーって噂もあるけど。彼女の所属事務所が火消しに必死だったけど、動画は拡散されまくって……ネット社会の怖いところだよね」     
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

249人が本棚に入れています
本棚に追加