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 モニターには陽太が映っていた。目深にかぶったニット帽、べっ甲縁のめがねをかけてマスクを装着した完全防備スタイルだが、すぐにわかった。少し慌てた様子で立っている。名前を告げられるまでもなく、関谷はがちゃがちゃと乱暴にドアを開けた。 「陽太くん」 「拓斗さん……、連絡くれはったよね」 「う……うん」 「仕事が終わってから気付いて、何度もかけ直したんやけど、電源が入ってませんってなって……」  バッテリーの残量がほとんどなかったが、陽太に電話が通じなかったのでそのまま放りっ放しにしていた。 「ごめん……」 「無事なんがわかったし、そんなんええよ」 「ううん、本当にごめん。僕はすごく勝手だ」 「え……なんて? た、拓斗さんっ!」  陽太に会えたことで気が抜けてしまい、関谷はその場に座り込んだ。肩を抱えようとする陽太に向かって、崩れ落ちるように頭を下げる。 「陽太くんのこと、テレビで見たよ。ミュージシャンだったことも、陽太くんが考えていたことも……僕は何にも知らなくて。知ろうともしなくて……ごめんなさい」 「それは、オレも言うてなかってんし」 「自分の考えてることも伝えないで、ただ疑心暗鬼になって。でもテレビで陽太くんが言ってたことを聞いて…………伝えなくちゃって思ったんだ」 「…………なにを? 教えて」 「ありがとう」  ずっと伝えたかった感謝の気持ち。こんなに簡単なことなのに、なぜ今まで伝えなかったのだろう。     
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