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「陽太くんと出会えて、僕は人生が急に輝き始めたんだ」
「拓斗さん」
「陽太くんが、僕の世界を薔薇色にしてくれた…………今更僕が好きだって言っても迷惑だと思うけど……どうしても伝えたくて。本当に好きでした。ありがとう」
最後の方はみっともない涙声で聞き取りづらかったかもしれない。でも自分を変えてくれた彼に感謝の気持ちをどうしても伝えたかったから満足だ。
「そんなん、反則や……」
やっぱり身勝手だけれどと思っていると、突然ぎゅっと抱き込まれた。
「拓斗さん、そうやって全部ひとりで完結せんといてよ」
驚いて反射的に彼の腕から逃れようとしても、ますます締めつけられ離してくれない。
「好きだったって、拓斗さんはオレへの気持ち、過去形なん?」
ぶんぶんと首を振るとやっとあの笑顔になり、腕の力が少しだけ弱まった。
「今でも好きだ。だけど迷惑かと思って……」
「そんならよかった。な……こっち向いて」
耳元でささやかれ、ぽーっとなって顔をあげると、口づけられた。
「…………好きや、拓斗さん」
「ん、ふっ……」
「救われたんは、オレの方や。拓斗さんがいてくれたから、また音楽をやろうって思えたんや」
夢中で抱き合った。彼の手を引いてベッドへ行くわずかな距離ですらもどかしい。
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