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 これだけは、本当に心からそう思っている。八方ふさがりだった関谷を助けてくれたのは瀧川だ。  就職難で苦労しながらやっとのことで滑りこめた会社。  小さいながらも老舗の食品会社で関谷は総務部に配属された。総務の仕事は地味だが、裏方のサポート業は自分に合っていると感じ、やりがいもあった。  だが社員が安心して働くためには必要不可欠なものなのに、当の社員との温度差は激しく、あまり好かれない。それどころかガチガチの頭でっかちで、融通の利かない関谷はすぐに社員たちから嫌われた。  真面目に正しいことをしているだけなのに、他の社員とぶつかる。書類の不備や、期日を守れなかったものは受け取れないと、当たり前のことを伝えただけなのに、総務を訪れた社員が声を荒らげ、関谷に捨て台詞を吐いて出ていくことも二度や三度ではなかった。 「うまくやればいいんだよ。本当の期日より2、3日前を伝えるのなんか普通だろ」  同じ課の先輩はそうやって確実に期日を守らせ、間に合わなかったものには恩が売れると言う。  オマエもうまく立ち回れと言われるが、なかなか変われない関谷は同僚からも差をつけられてゆく。次第に周囲から距離を置かれ始め、気付いたら孤立していた。そんな状況からすくい上げてくれたのが、瀧川だった。     
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