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二年間の間、僕はソメイヨシノに会えない日々を過ごした。
言われた通り、人間の女の子とも付き合ってみた。同じ図書委員の美由紀という名前の子で、大人しいがしっかりした子だった。彼女と過ごす時間も楽しいものではあった。夏祭りに行ってみたり、一緒にケーキを食べたり。高校生が付き合ってやりそうなことは、一通りやってみた。
だが、やはり胸の奥にあるソメイヨシノへの想いは消えなかった。
むしろ、彼女と過ごす時間が楽しければ、楽しいほど、それとは異質のソメイヨシノへの強い想いを感じずにはいられなかった。
そして、そのことはなんとなく美由紀にも伝わっていたらしい。半年程付き合った後で、彼女の方から別れを切り出された。
もちろん、僕は傷付いた。
だけど、別れたことで、後ろめたさを感じずにソメイヨシノのことを想っていられたのも事実だった。
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